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発明性(2条)
甲は、精度が高いマイクロスコープαの製造方法の発明Aを独自に完成させた。しかし、発明Aに係る製造方法を実施した場合、マイクロスコープαを一定の確率で確実に製造できるものの、その確率は極めて低いものであった。
この場合、発明Aは、特許法2条1項の「発明」に該当するか否か、その理由も併せて説明せよ。
1.発明性
法2条1項にいう「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう(2条1項)。
①「自然法則の利用」とは、自然力を用いて一定の効果を反復的に得られることをいう。これは、当業者が反復実施できればよく、発明の再現に一定の確実性があればよいことを意味する。
本問の場合、発明Aは、マイクロスコープαを製造できる確率は極めて低いものの、一定の確率で確実に製造できるので、反復可能性があるため、「自然法則の利用」の要件を具備する。
②「技術的思想」とは、当業者が反復実施して、目的とする技術効果を挙げることができる程度まで具体的客観的なものとして構成されていることをいう。
本問の場合、発明Aは、実際に一定の確率でマイクロスコープαを製造できることにより、反復実施して、目的とする技術効果を挙げる程度にまで、具体的客観的なものとして構成されているといえるため、技術的思想に該当する。
③「創作」とは、新しく作り出したことをいう。
本問の場合、マイクロスコープαを製造する方法の発明Aは、単なる発見ではなく、創作に該当する。
以上より、発明Aは法2条1項にいう「発明」に該当する。
以上